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志をもって始めたはずなのに、いつの間にかやる気や目標が見いだせなくなる。そんな経験は誰しもがあるのではないだろうか。映画『きばいやんせ!私』で夏帆が演じた元・人気女子アナの貴子もそんなひとり。投げやりな毎日を送る中、幼いころ暮らした町での祭り取材を通じて、自分を見つめ直す奮闘記。太賀は、地元に根を下ろし、祭り存続に力を注ぐ太郎を演じている。意外にも映画での共演は初めてというふたり。作品への思いや仕事に対する今の素直な気持ちを聞いた。

シンプルに人と人とのつながりって素敵だなと思える映画です

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―― 取材は撮影からスタート。カメラ前に立つふたりはリラックスして、会話がはずみ笑顔もたえない。同じ事務所というだけでなく、同世代の俳優としてプライベートでも10代の頃から親交があるそう。ほぼ初共演となった『きばいやんせ!私』では、お互いの存在が心強かったという。

夏帆「太賀のことをよく知っているからこそ、最初は照れくさかったですね。特にリハーサルのときは役衣装も着ていないし、メイクもしていない素の状態でセリフ合わせをするので、恥ずかしくって(笑)。実際、撮影に入ったらそんなことは忘れて、すんなりと役に入れたので助かりました。はじめましての人だと、その人を知ることから始めるので距離をつかむまでに時間がかかるんです、私」

太賀「僕も照れくささはあったかな。夏帆の仕事も見てきているけれど、芝居以外のところでのつき合いが長いので、気恥ずかしさみたいなものがありました。でも、お互い経験を積んできているので照れさえ忘れてしまえば、すっと太郎と貴子との関係性になれました」

夏帆「演じることだけでなく、今回は約3週間、南大隅町で撮影が行われたので、太賀がいてくれたことが心強かったです。はじめて訪れる町ですし……」

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―― そう、映画の舞台は本土最南端に位置する鹿児島県の南大隅町。鹿児島空港からバスにゆられること約3時間。自然豊かな町だ。

夏帆「はじめて訪れたときは貴子と同じ気持ちでした(笑)。空港からは遠くて、いつ着くのかなって。コンビニもないし、3週間もここで撮影できるのか不安でしたが、地元の人達が温かく迎えてくださってリラックスして過ごすことができました」

太賀「撮影中は一度も東京に戻らず滞在していたので、作品に集中して向き合えたのが良かったです。町全体で盛り上げてくださって、それが励みにもなりました」

夏帆「そうだね、この町の人達のためにも頑張ろうって思いました。婦人会の方たちが食事を作ってくださったのも嬉しかったですね。3週間という短い期間でしたが、どこに行っても親戚のおじさんやおばさんと接している感覚になったほど。エキストラとしても参加していただいたんですよ」

―― 夏帆が演じたのは不倫騒動をきっかけに、左遷された女子アナ・児島貴子。ディレクター兼レポーターとしての仕事を任されるが、投げやりな態度でやる気ゼロ。清々しいほどのクソ女っぷりを発揮した夏帆の演技に注目だ。

夏帆「私、脚本を読んだときに貴子のことが好きだなって思えたんです。脚本家の足立紳さんが書くセリフにユーモアがあって素敵だったからというのもあるのですが、周りからはワガママに見えるけれど、自分に正直な女性だと感じました。自分が思っていることを包み隠さずに口にするってなかなかできないことだから、そこは貴子の魅力だなと思います。セリフのひとつひとつを口にするのが楽しいというか快感でした。東京での貴子はとても破天荒に見えるけれど、南大隅町では町の人達に影響を受けて変わっていくんです。太郎の仕事ぶりを見たり、昔お世話になった食堂のユリさん(愛華みれ)や役場の人たちと接するなかで、自分自身を見つめ直していくので、現場では常に柔軟でいたいなと思っていました」

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―― 一方、太賀が演じた橋脇太郎は、南大隅町で畜産業を営み、和牛オリンピックでの優勝を目指す青年。祭りの実行委員のメンバーであり、街コンを主催するなど町の活性化にも力を注いでいる。だが、貴子から見ればつまらない人生かもしれない。

太賀「貴子からしたら何もない田舎町だし、伝統と言いつつ祭りも形だけのものでガッカリしたと思うんです。でも、そこで生まれ育った太郎としてはこの町が全てなので、僕自身も町のひとつひとつを愛せるように心がけていました。そして、自分(太郎)の仕事に誇りをもっていたいと思いました。その軸がぶれると貴子と対峙できない気がしたんです。もちろん、貴子の気持ちもわかるんですよ。彼女の嫌味なところって素直さがゆえの器用に生きられないあらわれのような気がします。むしろ僕は太郎より貴子側の人間かもしれません」

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―― ストーリーのカギとなる南大隅町で1300年以上続く祭り「御崎祭り」を体験したふたり。東京で生まれ育ったふたりの目にはどう映ったのだろうか。

夏帆「撮影は去年の3月だったのですが、その前に2月に行われた実際のお祭りを見学させてもらいました。ストイックなお祭りだなというのが第一印象です。約20㎞の距離を鉾、神輿、傘などを持ってリレー形式で練り歩くのですが、重さも距離もあって大変ですよね。若い人も少なくなってきていますし」

太賀「1300年も当たり前のように続いているのが素敵だなと思ったし、それに誇りを持って情熱を費やしている姿は胸にくるものがありました。演じるうえでは絶対にその思いを受け取って表現したいなと思いました。僕は映画のなかで鉾を運びましたが、鉾そのものの重みだけでなく伝統の重みもあって。太郎が若いながらも一生懸命に伝統を守ろうとしている気持ちがわかりましたね。東京って何でもあるからこそ、南大隅町の御崎祭りのような昔からある文化に目がいかなくなるのかなというのも感じました」

夏帆「続けることって本当に大変ですよね。私が育った町にはないからな……」

太賀「そうだね。東京だと隣に誰が住んでいるかも知らないし、同じ地域でつながりのない人達と一緒に何かをするってことは少ないから。だから、ただ同じ町に住んでいるからというシンプルなつながりで、祭りを盛り上げようと頑張っている姿が素敵だなと思いました」

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―― 自然豊かでおおらかな町で過ごすなか、貴子は仕事への誇りのなさを突き付けられる。劇中で「なぜこの仕事をしているのか?」という問いかけがある。そこで、ふたりにも聞いてみた。

夏帆「難しいな……。実はスカウトされるまでこの世界に入るなんて考えたこともなかったし、お芝居なんてとてもじゃないけど出来ないと思っていたんです。だからあれよあれよとここまできてしまった感じがあります。10代の頃は、周りだけがどんどん進んでいき、自分の気持ちが追いつけない状況でした。だけど、やっぱり演じることや撮影現場が好きだから続けているんだろうと思います。自ら進んで入った世界ではないので、正直、辞めたいと思った時期もありました。女優でやっていく自信がなく、ちゃんと向き合うことができなかったんです。高校を卒業するときに、逃げずに仕事だけでやっていこうと思えたのが、ようやく自分で決められた瞬間ですね。太賀と初めて会ったときは、ちょうど仕事を続けていていいのだろうかと葛藤していた時期で、実は太賀のメラメラと燃える野心が怖かったんですよ」

太賀「俺がガツガツしてたから?」

夏帆「そう(笑)。いつも『お前はそれでいいのか!?』と言われている気がしたんだよね。自分に自信がなくて悩んでいたから、そう感じていたのかも」

太賀「僕は夏帆とは対照的に自分がやりたいと思って始めたこと。映画やドラマを見るのが好きだったし、夢中になっていたし、見ることで救われることもあったから自然と俳優になりたいと思いました。ただ、始めたものの自分自身のなかにあるガソリン(エネルギー)だけじゃやれなくなってきて、一生懸命やっているのに評価もされず、見向きもされないことが続いて熱量も下がっていきました。何を糧にしてやっていけばいいか分からなくなり、空回り状態だったけれど、普通に生きていたら会えないであろう魅力的な人に会えて、一緒に仕事ができる喜びは感じていました。辛酸をなめているときで、もう一度会いたいと思える素敵な人との出会いがやる気を起こさせてくれましたね。またこの人と一緒に仕事をしたいという思いで続けているのかもしれません」

夏帆「それは私も思います」

太賀「役者って意外と受け身な世界だから、自分からはつかみにいけないんですよ。一期一会を繰り返す仕事だから、またこのスタッフや役者と一緒に作品を作りたい、そのために頑張ろう!と思えるんです」

夏帆「今回の南大隅町での出会いもそうだよね。もしかしたら旅行で行くかもしれないけれど、それはまた違う出会い方だから」

太賀「同じスタッフ、同じキャストが全員揃うことは難しいし。本当に一期一会の世界です」

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―― 映画のタイトルにある「きばいやんせ」は鹿児島弁で「がんばれ」の意味。誰かにエールを送るのではなく、自分を奮起させるタイトルだ。しかし、貴子の人生の復活と祭りの復活をかけた奮闘劇は、見ているものへの激励にも感じる。

太賀「ストーリーを通して僕が好きだなと感じたのは、本気になること。ひとりではどうにもならない状況でも、人と人とが呼応し合うことでちょっと本気になれる。その少しの本気をきっかけに進んでいけると思うんです。その本気が伝わったらいいかな」

夏帆「太郎と貴子が車のなかで本気でぶつかり合うシーンがあるのですが、スタッフを含めみんなで特別な時間を共有できた気がしています。演じ終わった後の開放感も心地よくて」

太賀「あれはヒリヒリしたね。夏帆との信頼をとても感じられる場面でした」

夏帆「そうだね。夕景のなかで撮りたいシーンだったので、時間が限られていたから緊張感もすごくて」

太賀「他のシーンはリラックスしてできたけど、あのシーンだけは特別でした。リハーサルから時間が空いたけれど、その待ち時間に集中力を高めて、あの一瞬に力を注いだ感じがする」

夏帆「終わったあとは、芋焼酎飲もう!っていう気分でした(笑)」

太賀「乾杯しようぜってね(笑)」

夏帆「ああいう瞬間があるから映画って、演じるって楽しいんだなと感じました」

―― 物語の転機となるふたりのシーンはやる気や目標を失いかけている人だけでなく、日常に疲れている現代人に突き刺さる言葉があふれている。

夏帆「セリフにウソがないというか、リアルなんですよね。伝わるかな……」

太賀「伝わるよ!2019年はポジティブになるって決めたでしょ」

夏帆「そうだった。きっと伝わると思います」


Writing:岩淵美樹

インフォメーション

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(C)2018「きばいやんせ!私」製作委員会

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『きばいやんせ!私』

3月9日(土)公開


仕事にやる気を見いだせず、投げやりな毎日を送っている女子アナの児島貴子(夏帆)。そんな彼女に命じられたのは全国の祭り取材。貴子は小学2年生のときに住んでいた鹿児島県の南大隅町行われる「御崎祭り」を思い出し、下見に出かける。かつての同級生・太郎(太賀)や、1300年続く祭りを盛り上げるために奮闘する人々に出会い、自分を見つめ直すことに。

▼公式サイト



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